公益財団法人テルモ生命科学振興財団

中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

赤ちゃんの睡眠の意味とは?

先生、「寝る子は育つ」なんて言葉があるように、赤ちゃんは寝るのが商売のようなところがありますよね。大人では睡眠時の脳活動はレム睡眠とかノンレム睡眠など、いろいろな状態があることを教わりました(「脳の不思議を考えよう」第7回 睡眠と脳のメカニズム)。先ほどの研究は睡眠時の脳活動を記録したそうですが、睡眠の状態によっても脳活動は違うのではないですか?

いいところに気づきましたね。赤ちゃんの睡眠には、大人のレム睡眠に対応する「動睡眠」と、ノンレム睡眠に対応する「静睡眠」があります。静睡眠のときは、からだの動きがなく静かに深く寝ていますが、動睡眠のときは身体をもぞもぞ動かしますし、眼もよく動いてとてもアクティブで、先ほどの光トポグラフィ―でも独特のパターンを示すんですよ。
興味深いことに、睡眠は胎児期から始まると言われています。

睡眠の発達

(Hobson, Nature Neuroscience 2009を改変)

えっ! 目もあいていない胎児のときからですか!驚いたなぁ。

しかもこのときはほとんどが動睡眠と言われています。私たちは普通、日中ずっと意識があってそれを休止するのが睡眠だと思っていますが、発達段階で見ると、覚醒状態ではなく睡眠状態からスタートしているんです。つまり、睡眠によって脳がつくられていくとも言える。研究者の中には、睡眠こそが意識の起源ではないかと説く人もいます。

動睡眠は、大人のレム睡眠に対応するというお話でした。私たちは、レム睡眠のときに、複雑でストーリー性のある夢を見るそうですが、動睡眠のときは胎児も夢を見ているんでしょうか???

それについてはいろいろと魅力的な説があります。睡眠と夢研究で名高いアメリカのJ・アラン・ホブソン博士などは、胎児は生まれる前に行動パターンをシミュレーションしていて、それを反映している脳の状態が、一種の夢のような状態なのではないかと述べています。

まるで哲学問答のようだニャ。頭がこんがらがってきたニャー。

胎児の夢談義はともかく、私は新生児から乳児期へと脳が発達していく過程で、睡眠と運動が、脳にとってきわめて重要な役割を果たしていると考えています。知覚や認知、言語などの高次機能も、この二つが基盤になって形成されていくのです。

睡眠と運動が基盤となって
脳の高次機能が形成されていく

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