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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

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第18回

赤ちゃんの脳は不思議がいっぱい

赤ちゃんが何を感じ、何を考えているのか、私たちは乳児のころのことは覚えていないし、赤ちゃんを眺めているだけでは分からないから、赤ちゃんの脳はブラックボックス的な存在だ。脳の機能がどのように発達していくのか、膨大な神経細胞のネットワークはいつごろ構築されるのだろう? 「脳の不思議を考えよう」の最終回は、赤ちゃんの脳の発達に迫っていこう。

お話をうかがった先生

東京大学大学院 教育学研究科 教授

多賀 厳太郎先生

(たが・げんたろう)
1965年東京生まれ。89年、東京大学薬学部卒。94年、同大学大学院薬学系研究科博士課程修了。薬学博士。京都大学基礎物理学研究所学振特別研究員、ボストン大学神経筋研究所博士研究員、東京大学教養学部基礎科学科助手などを経て、2009年より現職。専門は発達脳科学。

赤ちゃんの脳の発達について知りたい!

あら、ケンタくん、最近なんだか楽しそうね。何かあったの?

うん、ぼくのいとこに2か月ぐらい前に女の赤ちゃんが生まれてね、先日からぼくの家に来てるんだ。とってもかわいらしい赤ちゃんで、なんだかぼくが話しかける言葉が分かるみたいなんだよ!

へえ、ケンタ君を見て泣きださないのかニャ。

そんなことないよ!足をバタバタさせて喜ぶんだよ!

うらやましいなー。私は小さな赤ちゃんって、身近では出会わないもの。
ところで赤ちゃんの脳って、生まれたときにはどの程度完成しているのかしら? 言葉は喋れないから、まだまだ未熟なのかな?

そうだよね、たとえば脳のシワなんてあるんだろうか? でも、ぼくの家にやってきた赤ちゃんは、けっこう賢そうな気がする!

知能が小学生並みのケンタ君とあまり変わらニャイかも?

ニャンはすぐぼくのことをバカにするんだから。考えてみるとぼくたち、これまで脳のことをいろいろな先生に教わってきたけど、ヒトの脳の発達については全然聞いたことがないね。

赤ちゃんの脳の発達について研究している先生に詳しい話を聞いてみたいな。

やぁキミたち、何を話しているかと思ったら赤ちゃんの脳についてなんじゃな。そういうことなら東京大学大学院教育学研究科の多賀厳太郎教授をお訪ねしてみるとよいじゃろう。多賀先生は大勢の「赤ちゃん研究員」に協力してもらって、赤ちゃんの脳の活動を最新の装置で測定し、脳が発達するプロセスや脳の機能について研究しておられる、この分野の第一人者なんじゃ。

赤ちゃん研究員だなんておもしろそうだね。さっそく行ってみようよ!