公益財団法人テルモ生命科学振興財団

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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

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中高校生が第一線の研究者を訪問
「これから研究の話をしよう」

第8回
研究者のパッションに触れた2時間

第2章 若い人に夢とチャンスを与えるプロジェクト

高井
そんなぶっちぎり世界ナンバーワンのJAMSTECが、最近では若者をサポートし始めています。
お金ではなく、気持ち的にサポートして、その中から1人でもスーパーヒーローが出てきたらと思っているのです。
 
JAMSTECの「しんかい6500」を知っていますか? 3人乗れる有人潜水調査船ですが、今までは研究者しか乗れなかった。つまり、博士号を取得して日本の大学や研究機関で働いている人しか乗船できなかったのですが、その長く、長く続いたルールを変えて、今年から大学1~3年生を「しんかい6500」に乗せ、深海の研究現場に連れていくプロジェクトを始めます。8月16日から行くのですが、あなたたちより2年、3年上の人が、今年の夏休みに「しんかい6500」に乗るんです。これは来年もやる。
松下
でも、来年、僕はまだ高3です。
高井
今年は間に合わなかったんだけれども、来年は高校生まで含めようと今、動いているので、高校生でも「しんかい6500」に乗るチャンスがあるかもしれない。
松下
乗れますね。
高井
乗ろうと思えばね。すごいチャンスがあるんだよ。
松下
何人乗れるんですか?
高井
今年は大学生7人です。
松下
たった7人?
高井
はい。
松下
来年は?
高井
来年は10人ぐらいかな。それと、今年審査をしていて、ちょっと気付いたことがあるんだけど、大学1~3年生だと、やはり3年生が強い。君たちくらいの年齢で1年の差は大きいと思ったね。特に、2年生と3年生の間にめちゃくちゃ大きな壁があるんですよ。
松下
何ですか、それは。
高井
人前で自分の意見や考えを伝える力の差かな。書類審査の段階でも3年生が強かったけど、最後の面接でのコミュニケーション能力や考え方の差は歴然としていて、アピール力が圧倒的に違っていました。
 
高校生は大学生と比べると不利だから、来年は20歳以上と20歳以下で分けたほうがいいかなと思う。
大学生でも1年生だったら高校生とあまり変わらないから、そういう枠を設定して、大学2、3年生は別途、大人として扱うというふうに分けることも考えています。だから、君たちは大学1年生に勝てばいいんだよ。
松下
いや、それ、大丈夫なんですか。
高井
大学生って大したことない。本当に君たちと変わらないよ。
松下
じゃあ、来年、「しんかい6500」に乗ります!
高井
それぐらいのガッツがあるといいね。ただ、みんなそれなりに乗りたいと思って応募するわけだから、「私は乗りたいです」と書いても通るわけがない。乗ることが自分にとってどれだけ大きな出来事なのか、どうすれば審査員の心に響くか、自分なりに作戦を立てて応募書類を書かないとね。というわけで、今、JAMSTECは人材育成にも目を向けているというお話をしました。

乗船を前に笑顔の男子大学生
写真提供:JAMSTEC

コックピット内の高井さんと女子大学生(右端)
写真提供:JAMSTEC

コラム2
有人潜水調査船「しんかい6500」

1989年に完成した、6,500mまで潜ることのできる潜水調査船。全長9.7m、幅2.8m、高さ4.1m、定員3名。これまでに日本近海だけでなく太平洋や大西洋、インド洋などで、海底の地形や地質、深海生物などの調査を行ってきました。

写真提供:JAMSTEC

写真提供:JAMSTEC

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