公益財団法人テルモ生命科学振興財団

財団サイトへもどる

中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

サイト内検索

中高校生が第一線の研究者を訪問
「これから研究の話をしよう」

第13回
昆虫から死後経過時間を推定!? 知られざる法昆虫学の世界

序章 自己紹介

三枝
皆さん、初めまして。岩手医科大学の三枝 聖です。まず、お名前を教えていただけますか。
鈴木
はい。岩手県立一関第一高校2年の鈴木飛翔(すずき あすか)です。好きな教科は世界史で、いま一番興味があるのは世界情勢です。今回、参加するにあたり先生の著書を読みましたが、死体解剖とかいろいろ書いてあって、何というか、独特の仕事なので、もっと詳しく聞いてみたいと思いました。
佐藤
(亜)
同じく2年の佐藤亜琉(さとう ある)です。好きな教科は生物。いま一番興味を持っているのは、この法昆虫学です(笑)。質問したいことが幾つかあり、法昆虫学についてもっと理解を深めたいと思います。よろしくお願いします。
佐藤
(鈴)
佐藤鈴音(さとう すずね)、2年生です。好きな教科は地学で、中でも天文学が好きです。いま一番興味のあることは明後日に見られるペルセウス座流星群で、いまからワクワクしています。今回、先生の本を読み法医解剖についても興味を持ったので、たくさん学べればいいかなと思っています。
編集
皆さんは科学探究部に所属されているとのことですが、どのような活動をしているのですか。
鈴木
科学探究部は最近できた部で、自分が疑問に思ったことをそれぞれ研究しています。例えば、ダニやミジンコの研究。また文系班もあり、古典や歴史、観光業など幅広くやっています。フィールドは、まさに全世界という感じです。
部員は自由な考えを持つ人が多く、定例会などでの意見交換も活発です。顧問の先生からも大学の研究に通じるような鋭いアドバイスをいただき、恵まれた環境で活動しています。私のテーマはロシア史で、なぜロシア革命が起きたのか、世界各国の共産主義に対する対応はどうだったのかなどを研究しています。
佐藤
(亜)
ぼくはダンゴムシについて研究しています。ダンゴムシには交替性転向反応といって、連続したT字路の通路を進ませると左右交互に曲がり、ジグザグに進む習性があります。そのT字路間の長さによって起こる習性の変化についても調べています。
佐藤
(鈴)
私は化学と地学の2つをやっているのですが、化学ではタッパーを使った簡易的な燃料電池の開発をしていて、最近はもっぱら実験三昧です。天文学では、天体観測用に10秒ごとに自動的にシャッターを押すプログラムを作成。天体望遠鏡のレンズ部分にスマートフォンを取り付け、解像度や明るさを変えながら月を撮影する方法を探っています。

科学探究部定例会の様子

三枝
ありがとうございます。私も簡単に自己紹介をしましょう。私が勤める岩手医科大学は、2017年4月20日に創立120周年を迎えた医学・歯学・薬学・看護学の4学部がある私立の医療系総合大学で、皆さんの先輩も何人も入学されています。
私は1996年3月に弘前大学大学院理学研究科生物学専攻を修了し、理学修士を取得。当時、バブル経済がはじけた影響で就職難に遭い、1年間就職浪人した後、本学の医学部法医学講座の技術員として任用されました。技術員とは法医解剖のお手伝い、つまり解剖の介助や検査を行う仕事です。
そこの教授であった青木康博先生に「あなたは修士を持っているのだから、仕事の傍ら研究して博士号を取ったらどうか」と勧められました。05年3月に学位を取得し、教養部生物学科講師を経て今年4月から准教授となり、1年生の生物学の講義・実習を担当しています。
 
*今回の取材に際し、参加者の皆さんには三枝先生が書かれた『虫から死亡推定時刻はわかるのか? 法昆虫学の話』(築地書館)を、事前に読んでいただきました。

この記事をみんなにシェアしよう!