公益財団法人テルモ生命科学振興財団

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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

中高校生が第一線の研究者を訪問
「これから研究の話をしよう」

第13回
昆虫から死後経過時間を推定!? 知られざる法昆虫学の世界

終章 みんなの感想

困難に立ち向かう先生の姿勢に脱帽

鈴木 飛翔さん

今回、私は“法昆虫学”という学問があることを初めて知りました。法律と昆虫を一緒にするなんていままでは考えたことがなく、最初は大変驚きました。しかし、実際に講義を受け、その驚きは興味へと進化していったのです。
法昆虫学とは、死体に付着した昆虫を採集し、その昆虫の状態で死亡推定時刻を明らかにしたり、どこで亡くなったかを推定する学問。法解剖時に同席して昆虫を採集するため、屈強な精神力が必要だと思い、法昆虫学を生業としている先生には脱帽しました。また、その特殊性により、法昆虫学は日本ではマイナーな分野だとか。学会では見向きもされなかったと嘆いておられましたが、近年の先生の努力もあって、マイナーな中でもメジャーな学問へと発展しているそうです。
しかし、いくら先生が努力しようとも、捜査情報が伴うために警察に配慮しなければならず、横のつながりがうまくできない。それに加えて、死体に付いていた昆虫であるために精神的に厳しいものがあり、大体の昆虫学者は気味悪がって協力は望めないとのこと。そんな中でも昆虫同定のためにDNAの塩基配列を用いるなどの工夫を凝らし、警察の捜査に協力する先生には一種の憧れを抱きました。
将来、私は経済学部へ行き、鉄道関係の仕事をしたいと話しました。それに対して先生は「世の中はわからないことだらけだが、いまの興味を大事にする。うまくいかないこともあるが、視野を広く持って何でも吸収せよ。後で何が役に立つのか分からないのだから」とおっしゃいました。先生の大学での苦労話もあり、説得力があって大変感銘を受けました。
最後に、大学の先生ともあって、どんな怖い人が来るのだろうかとおじけづいていましたが、とても温和な方で安心しました。裏話なども聞かせていただき、とても有意義な時間を過ごせました。

知識や情報を幅広く吸収する大切さを学ぶ

佐藤 亜琉さん

「法昆虫学」という言葉を見て、初めは何のことか理解できなかったのですが、先生の本を読み、オンライン講義を通して、世の中にはこのような仕事もあるのだとわかりました。三枝先生の努力によって岩手県警察が法昆虫学の有用性を認識したように、現時点ではまだ確立されていないことでも、誰かが努力して広めていくことで認知されていくのだと思いました。
三枝先生のお話を通して、学生時代に専門的に学んだり研究したことだけでなく、日常的に関わっている人たちから得た知識や情報が後々役立ったり、自分が進む道を変えてくれるきっかけになることもあるのだと知りました。私は人と関わることがあまり得意ではありませんが、普段の何気ない同級生との会話や、共同で行う作業や研究の中から得られるさまざまなものをたくさん吸収していきたいと思います。そして、その吸収したものをいつか自分の引き出しとして活用できるよう、努力を続けていこうと思いました。

理解者はきっと現れる、その言葉を励みに

佐藤 鈴音さん

私は、法昆虫学という未知の学問に対する興味と以前から気になっていた解剖学への関心を持って、オンライン講義に参加しました。三枝先生の話を聞き、法昆虫学者の活動内容や警察との関わりを知ることができ、より一層法昆虫学に可能性を感じました。法昆虫学者はかなりマイナーな職業ですが、死亡時刻を推定する段階で大きな役割を担っているのだと知り感心しました。
また、友人の研究の手伝いをしていたおかげで昆虫の知識を得ることができたと聞き、自分の分野にとどまらず多岐にわたって学ぶことの重要性を再認識。他の法昆虫学者に出会えなくても諦めずに追い続けた先生の研究に対する並々ならぬ熱意に感心し、私も先生のようになりたいと思いました。
私が「自分の研究内容を説明しても、理解されないことがある」と話すと、三枝先生が「自分がやっていることを認めてくれる人は必ずいるから、興味があることは突き通そう」と言ってくださったことが印象深く、研究に対するモチベーションが高まりました。また今回、参加者が意見を積極的に共有したことで自分にはなかった観点を知ることができ、参加してよかったと強く思いました。この講義で感じたこと、考えたことを今後の研究や日常生活に生かしていきたいと思います。

新しい世界、新しい視点を得る機会

教諭:佐藤 功司(さとう こうし)先生

日本における法昆虫学の第一人者である岩手医科大学の三枝先生から、法昆虫学の紹介と生徒の夢に対してのアドバイスをいただきました。
法昆虫学とは、昆虫を証拠の1つとして日常生活で起こりうる昆虫が関与する法的諸問題について調査し解決する、または調査・捜査に利用するために昆虫について研究する分野で、古くは中国・宋の時代の文献が残っているとのこと。主に死後経過時間の推定に活用され、死体の状態変化に伴い侵入する昆虫の種が変わってくるので、それぞれの昆虫の成育状況などから死後経過時間が推定できるそうです。法昆虫学の分野は、警察が関わるため情報を公開しにくい、死体やウジの話をすると敬遠されがちであることからネットワーク化しにくいようで、法昆虫学に携わっている人はまだまだ少ないものの、最近少しずつ増えてきているとのことでした。
医学や経済学に携わりたいという生徒の将来の夢に関しては「目標に向かって一直線に進むことも大事だが、可能性をさらに広げるため、いろいろなことに興味を持って勉強することが大切だ」というアドバイスをいただきました。参加した生徒たちも、質問にわかりやすく丁寧に回答していただいたり、将来についてのアドバイスもいただき、大変有意義な時間を過ごすことができたと感想を述べていました。私も法昆虫学という学問に初めて触れ、とても興味を持つことができました。また、三枝先生の地道な研究姿勢についても感銘を受けました。
最後になりましたが、このような機会を設けていただいたテルモ生命科学振興財団様、岩手医科大学の三枝 聖先生には心より感謝申し上げます。

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