公益財団法人テルモ生命科学振興財団

中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

第17回

「チンパンジーが見た世界」を探る

同じ霊長類に属するチンパンジーとヒトのゲノムの差は、わずか2%程度といわれる。ヒトに最も近いチンパンジーは、この世界をいったいどのように認知しているのだろう。「言葉は理解できるのか」「記憶力はヒトより優れているのか」「社会的コミュニケーション能力のレベルは」など、そこには興味がつきないテーマがたくさんある。
京都大学霊長類研究所・友永雅己教授はその秘密に迫り、「ヒトのこころの発生」の謎を解こうと研究を続けている。

お話をうかがった先生

京都大学霊長類研究所 認知科学研究部門・思考言語分野 教授

友永 雅己先生

(ともなが・まさき)
1986年大阪大学人間科学部卒。1991年同大学大学院人間科学研究科博士後期課程所定単位修得退学。同年日本学術振興会特別研究員-PD、京都大学霊長類研究所助手。1994年博士(理学)の学位取得(京都大学)。1996年京都大学霊長類研究所助教授。2016年より現職。同年公益財団法人日本モンキーセンター学術部長。17年日本動物心理学会理事長。

ヒトとチンパンジー、どこが同じでどこが違う?

ねえ、リカ子さん、僕たち人間は言葉を使って話ができるし、友達の気持ちを考えて行動したりできるよね。そればかりじゃなく、コンピュータを発明したり、芸術を生み出したり小説を書いたり、ほかの動物よりも賢い生き物だと思うんだ。

まあ、そうよね、だからヒトは霊長類の中でも特別な存在と考えられているわけよね。

だけど、そんな僕たちヒトだって、元をたどれば、サルやチンパンジーやゴリラなどと共通の祖先から進化してきたわけだよね。とくにチンパンジーは、長い生物の進化の歴史で考えると、すぐ最近分かれたんだって、先生から教えられた覚えがあるんだ。

あれ、ケンタ君にしてはよく忘れないで覚えていたものだニャン。

そうね、ヒトと同じ霊長類の仲間にはゴリラ、オランウータン、ボノボ、それにチンパンジーなどがいて、ヒトとチンパンジーは、共通の祖先から約500~600万年前に分かれたと考えられているそうよ。それにしても、どうして突然、そんなことを言い出したわけ??

実はね、僕、この前「猿の惑星:創世紀(ジェネシス)」というDVDを借りてきて見たんだ。とても面白かった! 2011年に作られたアメリカ映画で、研究室で言葉を教えられたチンパンジーがどんどん賢くなって、やがて研究室を脱走してサルの王国を作っていくという話なんだ。ありえないけど、ひょっとしたら…って思ったらドキドキしちゃったよ。

なるほど面白そうな話ね。でも、映画のお話は別として、ヒトに一番近いといわれるチンパンジーは、実際にヒトとどれくらい違うのかしらね。

そもそもチンパンジーがヒトの言葉を理解できるのかとか、計算ができるかとか、そうしたことを研究しているところがあるのか知りたいんだよね。リカ子さんに教えてもらいたいって思ったわけさ。

さあ、なにかで聞いたことがあるような気がするけれど、よく分からないわ。

こういうときこそ、フクロウ博士の出番だニャン。

みんな何の話をしているかと思ったら、チンパンジーとヒトの違いについてなんじゃね。それなら、京都大学霊長類研究所の友永雅己教授を訪ねてみるとよいじゃろう。先生はチンパンジーばかりではなく、ウマやイルカやカメなどについてもいろいろ研究されておるから、興味深いお話が聞けるはずじゃ。

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