公益財団法人テルモ生命科学振興財団

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中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

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中高校生が第一線の研究者を訪問
「これから研究の話をしよう」

第4回
植物のたくみな生殖戦略
「自家不和合性」

エピローグ 僕に続く皆さんへ-渡辺教授からのメッセージ

「この人が自分の先生だ」、「この人が自分の目標だ」と思える方に、ぜひ出会ってください

探せ!自分の師匠を!

僕自身のことですが、僕は大学で日向康吉先生*に出会い、自家不和合性を教えていただきました。その時のことは今でも覚えていますが、「これは面白い」という感動に近いものでした。日向先生は、僕にとっての師匠であり、もし出会っていなければ今の自分はないとも思っています。大学に行ったなら、いや大学を出てからでもかまいません。「この人が自分の先生だ」、「この人が自分の目標だ」と思える方に、ぜひ出会ってください。それと、これも日向先生から学んだことですが、いろいろな人と共同研究することの重要性です。僕自身は遺伝学しか分からないのですが、化学や工学の人たちと一緒にやってきたので、今があると思っています。師匠との出会い、そして仲間との共同研究。とても大切です。
*日向康吉先生(1934~2014)。東北大学名誉教授。アブラナ科植物における自家不和合性研究の権威

めざせ!世界を!

夢は大きく、どうせやるのなら、やはり世界に羽ばたき、世界一をめざしてほしい。僕自身も「Nature」に多くの論文を発表してきましたが、研究するなら日本だけでなく世界が活躍の場だと思ってください。僕はいま50代ですが、僕の研究の継承者は、皆さんと僕の真ん中ぐらいの年代、30代ぐらいですが、彼らが見ているのは今の世界なんですね。みなさんは、上の世代にない新しいことをやってくれると僕は思っています。一緒に研究できるかどうか、年代的にはギリギリですが、ぜひ世界をめざして挑戦してほしいです。

贈りたい言葉

僕が自分で作って普段話している好きな言葉。それは、「まいた種(たね)は収穫しろ」です。「まかぬ種(たね)は生えぬ」という言葉もありますが、なにかしようと思えば、やはり種(たね)をまく必要があります。そして、物事を始めたら、きちんと後始末する。しないなら、種はまかない。雑草になってしまいます。これは、研究に対する考え方ではなく、すべてに言えると思っています。もうひとつ。僕自身の好きな言葉として、「環境は人を創り、人は環境を創る」というのがあります。これは、戦後すぐ理化学研究所の所長だった、物理学者の仁科芳雄先生の言葉です。皆さん、生まれも、地域も、高校も違いますが、その異なる環境の中で影響を受けてここまで来ました。でも、自分の力で自分を取りまく環境を変えていくこともできるはずです。新しいことをやって、新しい環境を創る。そんな心構えで進んでくれたら、と思っています。

研究室で渡辺先生の話を伺った後、休憩を兼ねて隣接する植物栽培用ガラス室を見学し歓談する皆さん

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