公益財団法人テルモ生命科学振興財団

中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

「サイエンスカフェ2019」レポート
講義と3つの実習、
他県の高校生や大学院生たちとの交流を通して
これからの進路が見えてきた2日間

[2日目]

実習

続く実習は、 (1) 温度応答性材料を知る実験と細胞培養と細胞シート操作、(2) 大動物実験室での超音波診断装置(エコー)の操作と手術器具を使っての縫合手技の体験、 (3) 簡易型人工心臓の作製、の3つ。一つの実習は約80分、午前1つ、午後2つの実習にローテーションで取り組みました。

実習1
温度応答性材料と細胞シート

この実習は再生医療で用いられる細胞シートについてより深く理解するためのプログラム。

細胞シートをつくる上で欠かせないのが「温度応答性高分子」です。温度応答性高分子とは、温度によって親水性や疎水性に変化するなど、物理化学的特性を急激に変化させるユニークな性質を持った高分子のこと。実習では、温度の違いで透明になったりゲル化したりする材料を中心に、その性質の変化を観察しました。

まずはポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)を溶かした水溶液が温度でどう変化するか。透明だった水溶液は40℃のお湯につけるとみるみる白濁していきます。この変化は、一定温度以上になると疎水性となり不溶化するため。白濁したサンプル瓶を氷水につけると、再び透明に変わりました。また、海藻由来の高分子で色とりどりのゲルカプセルをつくる実験も体験しました。

クリックすると拡大します

「温度応答性材料」の基本を学んだあとは、細胞培養と増殖した細胞を新たな培養皿に移しかえる細胞継代操作にトライしました。電動ピペッターを使っての操作は、慣れないとけっこう難しいもの。そして締めくくりが、「温度応答性培養皿」で培養した細胞シートを取り出して、ゴム手袋の甲の部分に移植する実習。上手に移植できるとあちこちから歓声が上がりました。

クリックすると拡大します

PAGE TOPへ