公益財団法人テルモ生命科学振興財団

中高生と“いのちの不思議”を考える─生命科学DOKIDOKI研究室

「サイエンスカフェ2019」レポート
講義と3つの実習、
他県の高校生や大学院生たちとの交流を通して
これからの進路が見えてきた2日間

参加した高校生たちの感想

※寄せられた感想の一部を抜粋したものです

まったく興味がなかった工学に魅力を感じた

新潟県立新潟南高等学校(M・H 女)

私は、参加する前までは工学というものにはまったく興味がありませんでした。将来は医療関係の仕事をしたいなと思ってはいましたが、生命科学というものもよく分かっておらず、ただ単にさまざまな体験ができることや実際に研究をしている人から話が聞けるという点に魅力を感じて参加を決めました。

2日間を終えて、正直なことを言うと、より将来の進路が分からなくなりました。というのも、今までは自分の中で研究者というものを遠く感じていたし、最初に書いたように工学にはまったく興味を持っていない状態だったのが、機械工学の分野からでも医療に携わることができるし、実際に活躍している人たちがたくさんいることを知って、研究という道もあるかもしれない、と思い始めたのです。

清水先生のお話で、医者は目の前の人の命を救うことができる。研究者は何十年、何百年先の患者さんを救うことができる、という言葉がありました。それがとても印象に残っています。自分にとって将来の新たな選択肢が増えたのはとてもプラスになることだし、それだけでも参加してよかったと思います。

また、1日目の終わりの懇親会では、直接、清水先生とお話することができました。最前線で活躍している方から将来のアドバイスをいただけたことをとてもうれしく思うとともに、先生からの一言一言を忘れないで日々勉強しようと思いました。

今回参加してよかったと思うもう1つの大きな点は、コミュニケーションに関することです。自分の学校の人以外の27人全員がまったくの初対面で、前日までとても緊張していたのですが、2日間を通して全国各地の学校の話を聞いたり、それぞれの違いに驚いたり、趣味の話をしたり、本当に楽しい時間をすごすことができました。初対面の人に自分から関わりにいくのは苦手だったのですが、少し克服できたと思います。新たな知識や刺激にあふれていて、楽しく、そして学んだ2日間でした。

純粋な興味と好奇心を持つことの大切さ

千葉県立柏高等学校(K・H 男)

今回参加した「サイエンスカフェ2019」を通して、再生医療の最前線を知り、その可能性と研究者として大切なことを学び、かけがえのない仲間に出会うことができました。
最初、会場に向かっているときは、期待とともに不安でいっぱいでした。なぜなら、本物の研究者の話を間近で聞け、話もできるという滅多にない体験ができるという思いとともに、自分の学校からは1人しか参加していないので一緒に話せる人がいなかったからです。だが、講義が始まってからはそんな感情はなくなり、むしろわくわくするものになっていきました。

梅津先生の講義では自身の経験から医療と工学の連携について、また、清水先生の講義では再生医療の最前線の技術や現状を語っていただきました。続く若手研究者の講義では、自身の研究についてと同時に私たちへのアドバイスやメッセージをいただくことができました。質疑応答の時間では、私は自分が聞きたいと思ったことを質問し、丁寧な回答が返ってきてうれしく思いました。

講義のあとの懇親会では、人と話すのが苦手で、特に同学年の人に話しかけるのは昔から抵抗があった自分でしたが、近くにいた他校の先生や生徒から話しかけられ、打ち解けることができ、少しずつ緊張がほぐれていきました。クイズ大会でもグループのみんなと話し合いながら、自分の意見を積極的に出して楽しむことができ、親睦を深めることができました。

2日目のTWIns施設見学のあとの実習では、先生や大学生の指導を受けながら実験を成功させることができました。

サイエンスカフェを通して私は、研究者は人との繋がりや、探求のためには何かに対して純粋に興味と好奇心を持つことが大事だと学びました。今回体験したことを踏まえ、人との出会いと絆を大切にし、さまざまなことに好奇心を持ちながら、日々勉学に励んでいきたいと思っています。

高校での研究に悩む私に3人の研究者がくれたアドバイス

名古屋大学教育学部附属高等学校(M・K 女)

一日目。2人の先生と3人の若手研究者の講義を聞いた。若手研究者の講義のあとに質問をできる時間があった。私は学校の総合人間科やSTEAMという授業で研究をしており、総合人間科で最初に決定した研究テーマを調べていくうちに、より興味が湧いたテーマが出てきた。それを研究するか、以前決めたテーマを決定するか悩んでいる、ということを質問した。
講義をしてくださった3人の研究者の方に答えていただき、答えは分かれていた。その中で「両方やってもよいのではないか」という答えをいただいた。その発想はなかったので、今研究しているテーマと平行して他のテーマも研究したいと思った。

夜には懇親会があり、クイズ大会があった。私はAチームだった。私はクイズの答えがあまりわからず、役立てていなかったが、他のメンバーが博識で、正解を出してくれたおかげで優勝することができた。そして仲よくなることができた。

二日目。さまざまな医療体験をすることができた。その中で私が一番興味が湧いたのは細胞シートを用いた体験だ。
細胞シートという言葉は知っていたが、実際に見たことはなかったし、もちろん触れたこともなかった。細胞シートを模擬移植する体験があり、そのためにはいろいろな過程があり、その過程で私は細胞シートをピペットの中に入れてしまい、細胞シートが少し破れてしまった。そして細胞シートは半分の大きさになってしまった。しかしその後の移植がうまくできて褒めてもらえた。

もともと細胞に興味があり、将来は再生細胞や細胞シートの研究をしたいと思っていたが、今回の体験でより興味が深まった。今回のサイエンスカフェに参加したことによって将来、何がやりたいかをより明確にできたと思う。とてもよい体験だった。

同じ目標を持っている同士、またいつか会えると信じて

東京都立多摩科学技術高等学校(T・I 男)

とても濃度が濃く、衝撃的な経験ができた2日間でした。
1日目の講義の際は、疑問に思ったことや考えたことについて先生と直接、話すことができ、理解が深まっただけでなく、自分自身もこのようなことを学びたい、研究したいと思いました。
若手の研究者との意見交換の場では、研究者の方々がどのような経験を経てここに至ったのかを聞けたことはとてもよかったと思いました。普段、学校では研究の話が主で、研究している方の経歴などはあまり深く聞いたことがなかったので興味深く、参考にしたいと思いました。

また、懇談会では、各学校の説明やクイズ大会などで日本全国のさまざまな地域の人と交流ができ、自分の住んでいる地域にはないような話を聞くことができ、世の中は広いのだなと感じました。

2日目の実習もとても充実していました。私は動物の細胞の培養に興味があり、培養の実習の時にいくつも質問をさせていただいたのですが、丁寧に答えていただき、より一層興味が強くなりました。また、エコーを操作したり手術の縫合を体験したりと、普段なら決してできない体験をすることができて、とても興奮しました。

あっという間の2日間で、解散するときはとても名残惜しかったですが、同じ目標を持っていればまたいつか会うことができると信じ、これからも精進していきたいと思いました。

技術で人が幸せになることを知りうれしかった

山口県立下関西高等学校(A・K 女)

今まで自分の視野が狭かったことをこのサイエンスカフェに参加して感じた。
突然だが、私の夢は「医師になること」ではない。消えようとしている命をつなぎ止め、永らえさせて、少しでも想いをつなげること、そして笑顔が生まれ、悲しみが減ることが私の夢である。まとめるとどうなるか。「医師になることで人の想いをつなげたい」というこの一言に尽きるだろう。この夢を想い描く中でサイエンスカフェに参加し、はじめに述べた通り、視野の狭さを感じた。
というのは、工学や機械、最新技術、すべてが全力を尽くし協力し合うことで今の医療があり、私が存在できているという至極当たり前の事実に気づかなかったからだ。

さまざまなことをこの2日間で享受できた。細胞シート、人工心臓、縫合、エコー、そして夢の話・・・。たくさんの知らないことを知った。

今回の学びの中で確実に言えることは、欠けていいものなど1つとしてないということだ。TWInsでは学部の違う、それだけでなく大学も違う方々が集い、互いにリスペクトしながら未来を創っていた。その中になくてもいい人、技術はない。言葉で伝えられたわけではないが、その場の空気や先生たちの表情、すべてで体感した。

中でも強く心を揺さぶられたのは、細胞シートの話である。今、世界中で、心臓のポンプ機能の低下などによる多臓器不全や、腎不全による透析治療を受けている患者さん、がんにより臓器を冒された患者さんなどがたくさんいる。その人々を救うことができるのだ。その事実と、研究者のみなさんの志の高さに強く惹かれたし、技術で人が幸せになることを知ったのが何よりうれしかった。

2日間の日程を終え、やはり私は医療に携わりたいと心から感じた。この手で人を笑顔にできたとき、その笑顔には多くの研究者の血と汗と涙と人生が詰まっていることを、決して忘れないようにしようと思う。

生物への興味がますます強まった

大阪府立三国丘高等学校(N・K 女)

サイエンスカフェに参加した動機は、最先端の医療技術を知り、自分の夢に向かうモチベーションを高めるためでした。今まで臨床医について考えてきた私は、医療工学や技術についてはほとんど分からない状態で、人工臓器を作る仕組みを考えたことすらありませんでした。そんな状態で受けた講義に、もともと教科としての生物が好きな私は興味を抱きました。

梅津先生が動物実験の代わりとなる人工心臓を作った話には感動したし、清水先生が紹介してくださった細胞シートについては初めてその存在を知りましたが、とても画期的だと思いました。心筋細胞シートが拍動する映像や、細胞シートの活用法、また、マウスの血管と細胞シート中の毛細血管がつながるということにとても驚かされ、生物への興味がますます大きくなったことを実感しました。

TWIns の施設見学では興味深いものばかりで、途中、壁にかけられていた研究内容のパネルを全部読みたかったくらいでした。

3つの実習もどれも楽しくて、研究や実験のおもしろさを知ることができました。心臓の模型を使って本物の心臓のように動かすのはとても大変だったし、縫合体験は手が緊張で震えてしまいましたが、4針縫うことができました。エコーで角度を変えて見たいものを見るのは思っていたより難しく、人工ゲルの仕組みや、細胞シートを手袋越しに模擬移植する体験はとても楽しく、非常によい経験ができたととてもうれしく思っています。

臨床医しか考えていなかった私の視野が広がり、友人全員にこの体験を話しても話したりないほどの2日間となりました。

PAGE TOPへ