森下泰記念賞 第4回(2024年度)受賞者

理化学研究所 開拓研究本部
染谷薄膜素子研究室 主任研究員 /
創発物性科学研究センター
創発ソフトシステム研究チーム チームリーダー
染谷 隆夫(そめや たかお)

略歴

1992年3月
東京大学工学部電子工学科 卒業
1994年3月
東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻修士課程 修了
1997年3月
東京大学大学院工学系研究科電子工学専攻博士課程 修了 博士(工学)
1997年4月-1998年3月
東京大学生産技術研究所 助手
1998年4月-1999年12月
東京大学生産技術研究所 講師
2000年1月-2002年4月
東京大学先端科学技術研究センター 講師
2001年2月-2002年12月
日本学術振興会海外特別研究員(コロンビア大学)
2002年5月-2003年4月
東京大学先端科学技術研究センター 助教授
2003年5月-2007年3月
東京大学大学院工学系研究科 助教授
2007年4月-2009年3月
東京大学大学院工学系研究科 准教授
2009年4月-現在
東京大学大学院工学系研究科 教授
2009年7月-2017年6月
米国プリンストン大学 Princeton Global Scholar
2015年4月-現在
理化学研究所 主任研究員
2015年7月-現在
理化学研究所 創発物性科学研究センター チームリーダー
2016年10月-2019年9月
シンガポール国立大学 Globalfoundries Visiting Professor
2017年3月-2020年3月
ミュンヘン工科大学 Hans Fischer Senior Fellow
2020年4月-2023年3月
東京大学大学院工学系研究科長・工学部長
2023年4月-現在
東京大学執行役・副学長
2024年4月-現在
東京大学産学協創推進本部長

(2025年3月現在)

受賞理由

染谷隆夫氏は、「大面積化の容易さ」や「曲げやすさ」といった特徴を持つ有機半導体材料と、ナノテクノロジーを応用した電極・配線技術を融合することによって、柔軟性・伸縮性・大面積・多点・マルチモーダルという皮膚の主な特徴を兼ね備えたシート状センサを開発し、世界に先駆けて「電子皮膚」のコンセプトを提唱されました。この生体と人工材料の界面情報制御技術の発明を契機に、伸縮性を備えた半導体デバイスの研究開発が飛躍的に進展し、「伸縮性エレクトロニクス」と呼ばれる新たな技術領域が創出されるに至りました。これまでにない柔軟な半導体デバイスの登場により、変形・伸縮する生体への追従性が大幅に向上し、電極と生体界面の親和性も改善されたことで、長期間かつ高精度に生体情報を連続計測できるようになりました。

これらの成果は、今後益々重要となる未病や予防医療、疾病の予後管理など、様々な医療分野で鍵となるウェアラブルデバイスに応用され、さらにAIなどと組み合わせることで、今後の医療を革新する技術となり得るものと期待されます。

以上の実績及び将来性を勘案し、“医工連携・融合領域において顕著な業績を上げ、その将来が期待できる方を顕彰する” との森下泰記念賞の趣旨に相応しい研究者として選定いたしました。